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  遺品整理、不用品回収業を
始めたきっかけは、
「祖父が残したもの」
でした。
・大量の小説(全て丁寧にカバーがつけられ、手書きで題名を書いていた) 
        
・大量の木彫りの仏像と彫る為の道具 
        
・自作の大量のペーパークラフト 
        
・私の母親が子供の頃に遊んでいたおもちゃ 
        
・孫である私と弟が子供の頃に読んでいた図鑑や本 
        
・フィルムカメラ多数
 
    正直木彫りの仏像の多さには少々困惑しました。
      
 こんな人だったっけ!? 
同じ兵庫県内という事もあり、子供の頃はよく祖父母の家に遊びに行っては可愛がってもらっておりましたが、
      
歳を重ねるごとに疎遠になっていきました。 
      
それでも年に数回は家族で顔を合わせて食事をする。ものすごく仲が良い訳ではないけれど、
      
悪い訳でもない。そんな関係だったと記憶しています。
部屋を見渡し素直に思った事は 
      
「あぁ、じいちゃんの事なんも知らんかったんやなぁ」
      
でした。
祖父はどんな気持ちで仏像を掘っていたのでしょうか。 
今となっては知る術はなく、私の想像でしか説明する事は出来ません。 捨てる事も出来ずに手元にある大量の仏像。 
創ったのは、
若い頃予科練で爆弾をよけながら生き伸び、生物の教師として教鞭をふって、一人娘を大切に育て上げ、実直剛健な性格をしながらも、 細かい作業が大好きで一人で物を創り、孫に甘く、 日本酒を飲むとよく喋り、最後は妻も娘夫婦も孫の事もわからなくなり、 そこからあっと言う間に息を引き取った、 矢吹信夫です。
 
         
        そう考えると、 
いつものように何も考えずに淡々と捌く事が何故か出来ませんでした。
物が持つ物語にも、 
人間の心を豊かにする何かがあると気づいたからかもしれません。 
私が感じた違和感は、 
それに気づこうとせず「物の価値」だけにしか目を向けていなかった
自分の姿勢に対してだと思います。
「高く買ってほしい」「はやく買ってほしい」「スムーズに取引をしたい」という気持ちにお応えする事はもちろん大切です。 
私たちもそのような想いにお応えするために今のサービスを提供しています。 
しかし別の価値観の中で、
「商品にまつわる物語を伝えたい」
「どんな想いで所有してきたのかを知ってほしい」
「どのような方の元に届けられていくのかを知りたい」
という想いにもお応えしたいと考えるようになりました。
 
        美容師の方や理容師の方の大切な商売道具であるはさみ、
      
大工職人さんが良い仕事をする為の工具、
      
数々の素晴らしい写真を収めてきたカメラマンのカメラ、
      
雨の日も風の日も作物を作る為に働き続けてくれた農家の農機具、
      
自分の限界を超える努力を支えてきたスポーツ用品、
      
難関を超える為に月日を共にしたテキスト本、
      
プロを目指して血がにじむくらいかき鳴らしたギター、
      
子供の成長に伴い乗らなくなった自転車、
      
若い頃、毎週末乗っていたバイク、
      
父が大切にしていたレコードなど 
      
この世の中には愛情を持って使われていた物が
たくさん眠っているはず。
